花の寺

紫雲山常楽寺

常楽寺の秋

紫雲山(しうんざん)阿弥陀院(あみだいん) 常楽寺 (じょうらくじ)

所在 群馬県太田市上田島町372

宗派 真言宗豊山派
本尊 十一面観音菩薩

明治に入って旧宝泉村上田島にあった3カ寺が合寺して現在の寺号にして現在の地に移った。
合寺以前は各寺が永い間無住であった新田氏一族の鎌倉時代の武将、岩田経国に始まる「岩田氏」の氏寺であった。本尊の十一面観音立像は室町時代の作といわれている。

GONSHAN  GONSHAN 何処へゆく

赤い御墓の曼珠沙華 曼珠沙華

けふも手折りに来たわいな

GONSHAN GONSHAN 何本か

地には七本 血のやうに

ちゃうど あの児の年の数

北原白秋の『思い出』に載るこの詩を知ったのがいつ頃のことか思い出せない。白秋は曼珠沙華と書いてヒガンバナと詠んでいる。赤いこの花を見るとこのGONSHANが頭に浮かぶ。

彼岸花は毒草とされているそうだが、一方で毒を抜いて非常食にしたこともあったそうだ。

多くの異名を持っている。死人花、地獄花、幽霊花等日本全国に千以上あるというが決して嬉しい名は付いていない。昔、祖母に縁起の悪い花を摘んでくるんじゃないと叱られたという友人がいた。

しかし、私は彼岸花が好きだ。葉もなく緑の茎1本に5、6個の花を付ける。緑の茎を覆うように真っ赤な花が陽の光に輝くさまは妖しさを覚える。真っ赤なドレスを纏った麗人たちがロンドの演奏に乗って群舞をしているようだ。時折白のドレスのマドンナが現れる。赤いドレスの麗人がマドンナを取り巻くように風にそよぎに合わせて踊っている。

太田市にある常楽寺はけっして古刹とは言えないがご住職の人柄だろう四季折々の花が境内に咲く。殊に野生だという彼岸花はご住職、奥様或は檀家の方々の熱意で毎年境内に置かれた羅漢像などの石仏を引立てるように咲いている。

山門へ延びる参道の両側に舞台の花道を飾るように真っ赤な彼岸花は咲き、山門を潜ると正面の新しい本堂までを同じように飾っている。

築山だろう頂に太子堂が。その扁額はご住職の書。玄関、本堂内にも書がある。

訪れた日は雲の合間から秋の陽が差しが赤い彼岸花は花の縁を白くするように輝いている。同じときに咲くシュウメイギクや芙蓉の薄い色が彼岸花のロンドを一層際立たせている。

ご住職はご不在でお会いできずご朱印も頂戴できなかったが、参道の花道を六方踏むように辞した。

                                                         

常楽寺花春秋

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太子堂

太子堂扁額(現住職 本城亮俊師書)

本堂扁額

(山号「紫雲山」 真言宗豊山派23代管長 築山定誉師書)

本堂

前住職書

2023年9月ご逝去(行年90歳)