山門扁額(山号 書者不詳 嘉永5(1852)年の銘あり)

鷺草の寺 おおくら大仏

世田谷 妙法寺

東光山(とうこうざん)妙法寺 (みょうほうじ)

所在 東京都世田谷区大蔵5-12-3

宗派 日蓮宗
本尊 三寶祖師
創建 寛永14(1637)年
開山 本乗院日詮
開基 安藤家(旧大蔵本村村長)

飛 翔 十 態

「うつそみの世に舞い降りし鷺一輪 清楚な姿に君を重ねて」

どなたの歌か定かでないが、鷺草に想う人を重ねて歌った恋歌。鷺草を見ているとなるほどとうなずく純白の美しさである。野生の鷺草は絶滅危惧種だそうだ。東京都は既に絶滅種にしている。

世田谷区の砧にある妙法寺のご住職が鷺草を育てているという話を聞いて訪れたのは2年前であった。今年炎天の下、出かけた。前に訪れたときに比べると花の数も少なくちょっと寂しい。時季が遅かったのかと。
「今年はカナブン(金蚊)が花を食べちゃっうらしく寂しくなっちゃたんですよ」
ご住職は不在だったが応対してくださったご婦人が残念そうにおっしゃる。
カナブン・・・ずいぶん懐かしい名前が出てきたのに驚いた。幼い頃、夏の夜開け放した窓から勢いよく電灯を目指して勢いよく飛び込んできた金属光沢の昆虫を思い出す。

陽はまだ十分の明るさと暑さを残しているが、それでも薄墨を塗り重ねるように鷺草の周囲を暗くし始める。その分鷺草の白さが際立ち始めた。
数羽の小鷺が舞

うようだ。人形浄瑠璃の達者な人形使いのように鷺だけが目に入る。舞い上がる。舞い降りする。水平飛行も自由自在に飛翔している。

カナブンも全部食べずに、その美しさを訪れた私たちの目を楽しませようと思ったのか。
「想いを重ねる君」は遥か昔に鷺に乗って飛び去ったか。

ご住職 小林教一師が「大勢の人々が結縁してもらう」ことを大事にしたいと四季折々の花を育んでいると先のご婦人が教えてくれた。

山門を出るとき改めて頭を下げ、目を鷺草に向けると「早く想いを重ねる人を見つけたら」と羽ばたいているような錯覚を・・・。
                                                         (2014.8.24 記)

山門(法華門 江戸初期、目黒碑文谷法華寺の庫裡にあった。昭和61(1986)年に再建)

創建時 宇奈根(東京都・神奈川県の多摩川沿いにあった地名)に常光寺(天正13(1585)に開山されたという)というお寺があり、その隣村であったこの地の人たちが、常光寺に頼んで創建したという。

現在のご住職である22世小林教一師は訪れると楽しいお寺にと四季の花を育んでいる。境内には枝垂れ桜をはじめ季節になるとサツキ、花菖蒲、蓮花、鷺草などを境内に置いておられる。

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本堂扁額(「感応法閣」 茂田井教亨師書)

鷺草雑感

おおくら大仏(平成6年(1994)年竣工 高さ8b重さ8dのブロンズ製 釈迦如来像)

本堂